古田隆彦「日本人はどこまで減るか」

日本の人口が減り始めている。そしてそれをまるで日本の危機のように報道がされているのだが、僕はそんな訳が無いだろうと直感的に違和感を感じていた。で、誰か同じことを考えている人がいないかな、と調べていた結果この本と出逢った。



古田隆彦「日本人はどこまで減るか」
内容を要約すると著者は人口増減には3つの説「人口容量説」、「人口抑制装置説」、「人口波動説」が存在すると提唱し、この3つの説のはたらきによって人口が増減することは自然的な現象なのだと説明している。


3つの説を簡単に説明すると以下の感じ。
「人口容量説」・・・その時代の文明水準やそれぞれの土地の生活環境によって存在できる最大人口値は決まってしまう。
「人口抑制装置説」・・・人口容量を超えると個人や体制に関わらず増えすぎた人口を抑制しようとする生理的で文化的な人口抑制行動が選択される。
「人口波動説」・・・成熟した社会では「人口容量」と「人口抑制装置」のはたらきの結果により人口は増加と現象を繰り返す。



要するに現在の日本はかつての日本や世界中の都市が経験したように、社会が成長の段階から成熟の段階へ移行したということ。


人口が変動するのは当然の流れだし、そうした人口増加が停滞する時期というのは実は文化が濃縮される時代である、そしていずれ必ず訪れる次世代の社会発展まで文明を維持し進化させていけばいいのだ。


いろいろ疑問に感じていたことが解消して良かったです。
しかしそうすると逆にこんな考えも浮かんできます。成熟に近づいた社会なんだからなるべくこの状態を維持した方が良い、無理矢理この状態を破壊するような要因は取り入れない方が良いのでは、ってね。



まあ正直この本の中にはそれは無茶苦茶な・・・というような話の流れも多いのですが、人口減少という報道を真に受けて、無闇にネガティブになって日本はもうだめだ的な発想をしている暇があるんだったらぜひこの本をオススメします。